World Brewers Cup2023 優勝 Carlos Medina選手。

前大会を乗り越え、手に入れた世界一の景色

「World Brewers Cup2023」優勝者・Carlos Medina


2023年6月アテネで開催されたWorld Brewers Cup 2023で見事優勝を果たしたチリ代表Carlos Medina選手をインタビューしました。
彼が使用したレシピや今後の展開についてお伺いしました。
前回オーストラリアで開催されたWorld Brewers Cup2022では、諸事情により惜しくも参加できませんでした。
しかし、今回その困難を乗り越え目指した世界ステージ。見事世界1位を手にした先には飽くなき挑戦心が伺えました。


再現性の高いレシピ、その理由とは

____大会で使用したレシピを教えていただけますでしょうか


「大会で使用したレシピは、豆15.5グラムを使って、250グラムの液量を抽出するレシピでした。

お湯の温度は、91度。ペーパーフィルターは円錐型を使用し、ケトルはBrewistaを使用しました。

豆の粒度は、中挽に設定し注水方法は、5回均等に、30秒ごとに50gの水を投入して抽出完了までは2分45秒を目指しました。


使用した豆は、品種がシドラのナチュラルプロセスを使用しました。

トロピカルフルーツみたいな味、白色、黄色のフルーツのような風味があり、また緑茶のようなニュアンスもあり、非常に複雑なフレーバーを感じられる豆です。


このレシピは私がロースターとして働いているときに使うレシピだったので、私にとってはこの方法が

大会当日のコーヒーを検証するのが簡単だったんです。なので同様の結果を得ることができるこのレシピを選びました。

大会に向けてレシピの調整をする中で、たとえば大会1日目は90度を使用し、2日目は91度を使用しましたが、このレシピだとそういった微調整ができますし、かなり効果的でした。

_____大会が閉幕した後、あなたの競技を見て多くの方々があなたのレシピを試している様子がうかがえました。誰でも再現しやすいレシピということで、コーヒーの魅力がより伝わりやすく感じます。


そうなんです。実は、大会でどのレシピを使うかを考えていく中でそれもアイデアの一部でした。

競技中、競技者はプレゼンテーションやコーヒーの抽出、同時に多くのことをこなさなければいけません。だから私にとっては、非常にシンプルなレシピを選ぶという選択肢が結果としてうまくいきました。

同時に競技中は、コーヒーの抽出ももちろんですがその場が安心してもらえるような雰囲気作りを心掛けました。

____今回、大会でORIGAMIのドリッパー、カップを使用していただいた理由を教えていただけますでしょうか


ORIGAMIを始めて使用したのは、国内大会のときでした。

その時は陶磁器製のものを使用しましたね。今回使用したORIGAMI Air は柔軟性があると感じています。

どのコーヒーを試すかによって異なる使い方ができるんです。

フラットボトム型、コーン型のペーパーフィルター両方はもちろん使用できますし、またAirの材質上、温度が高い場所、低い場所、どんな環境にも左右されることがなく、安定した抽出を行うことができます。

その柔軟性がORIGAMIを使う理由です。もちろん、その見た目も魅力的なので気に入っています。

____大会では、どうして円錐型のペーパー使用したのですか


普段、私はフラットボトムのペーパーフィルターを使うことが多いですね。

今回大会で使用したコーヒー豆はとても甘みがあるものだったので、もう少し酸味を引き出すために

ペーパーのレイヤーを増やすことを考え、円錐形状を選びました


使用する豆からどういった味を引き出したいかによりペーパーは変えています。

抽出補助器具や新しいペーパーフィルターなど、新しい器具は常に興味があります。

ORIGAMIだと特に陶磁器のコーヒーサーバーは使ってみたいですね。

____ありがとうございます。コーヒーのプロファイルを引き出すというバリスタの手腕が垣間見えます。

Carlosさんとコーヒーのルーツについてお聞きしたいと思います。

コーヒーを携わることになったきっかけを教えていただけますでしょうか


以前は、マジシャンとして働いてダンスをしたり、レストランで働いたりしていました。その後、引っ越しをきっかけにもっと安定した仕事を探していました。それからコーヒショップで働き始め、その同じ年に競技を始めました。きっかけは、友人が私をコーヒーの競技大会に引き込んでくれたんです、振り返ってみるとターニングポイントのように感じています。それから5年が経ちました。


最初はバリスタチャンピオンシップで競技していました。当時チリではコーヒーの競技大会の唯一のカテゴリーでしたが、のちにブリュワーズカップが始まってからは、ずっとそちらで競技してきました。将来的にはバリスタチャンピオンシップにもまた参加したいと考えています。


___以前はマジシャンだったとのことですが、最近も活動されているのでしょうか

大会のプレゼンテーションにもその経験が生きているように感じます。


今はもうマジシャンとしては働いていませんが、時々コンサルティングを行っています。趣味としては、まだ練習していて、家族や友人にマジックを披露することもあります。大会のプレゼンテーションは、マジックの内容と似てはいませんが、助けにはなることは多いですね


今は完全にコーヒーに集中しています。

競技者はみなそれぞれが異なるバックグラウンド、経験を持っていて、ユニークな価値を持ち合わせていると感じます。

今はワールドブリュワーズカップチャンピオンとしての時間を楽しみたい。

____これからも競技者として大会に挑戦していく予定でしょうか


バリスタチャンピオンシップに挑戦したいと本当に願っています。来年か数年後かはわかりませんが、今はワールドブリュワーズカップチャンピオンとしての時間を楽しみたいですね。

チリでは、まだテイスターズカップやグッドインスピリッツなどの他競技はないので、開催されることが楽しみです。


そう話すCarlosさんの視線には、まだまだ挑戦したい探求心が垣間見えました。


前大会の経験を乗り越えて、勝ち取った優勝
___前回、World Brewers Cup 2022には諸事情により参加できなかったと聞いていますが、それを乗り越え今回優勝したのは、本当にドラマチックなことだと感じています。

オーストラリアに行けなかったことは、本当に大変でした。
私はインディペンデントの競技者として参加していたので、競技用の器具などはすべて支援していただいたものでした。運営団体からのオーストラリア行きの渡航費などもその問題により、同じ金額は戻ってきませんでした。
ゼロからのスタートでした。

それ以降、コーヒーを販売したりして、今回アテネ大会のための新しいチケット代やホテル代などをまかなうために努力しました。最初は本当に大変で、ゼロから再出発するという感じでした。でも最終的には、その出来事は、今ではとても重要だったと思っています。
できた時間でトレーニングを重ね自信を持つことにつながりました。
___とても厳しくも貴重な経験だったんですね。今回大会が開催されたアテネの街はいかがでしたか

とても美しい街でした。もう一度行きたいと思っています。
すごく短い滞在時間だったので行きたい場所を回るのは難しかったですが、それでも素晴らしい経験でした。
本当に美しい街で、今でも思い出すと少し寂しい気持ちになります。だからこそ、また行きたいと思っています。
滞在期間中の6日間のうち3日間は競技大会で他3日間はできる限りトレーニングに費やしました。

___最後の質問になりますが、今後チャンピオンとしての展望を教えていただけますでしょうか

チャンピオンとしての日々を送るCarlosさん。最後にこれからの展望を尋ねると、世界への思いを語ってくれました。


チリではクラスやコース、コンサルティングを行っていて、さまざまな仕事もしています。また、世界中のコーヒー豆の輸出国に行きたいと考えています。イベントは、ミラノのホスト(コーヒーの大型展示会)や日本で行われるSCAJには訪れる予定です。

また、自分のコーヒーブランドを再立ち上げしていて、そのブランド用のコーヒーを焙煎しています。

この1年をできる限り有意義に過ごせるよう、さまざまなことに取り組んでいます。


アジアもまだ行ったことがないので、初めての経験です。

先日は、初めてブラジルに訪れブリュワーズカップの競技者やブラジルの農園の人たちなどと過ごしました。

緊張とワクワクする瞬間の連続でとても刺激的な経験でした。たくさんの場所に行くことが今はとても楽しみですね。


チャンピオンとしての多忙な日々を送るCarlosさんの挑戦心は、とどまることがありません。

今後も活躍がとても楽しみです。

PROFILE

World Brewers Cup Champion 2023

Barista Carlos Medina

 2023 World Brewers Cup: Finals

https://youtu.be/Ed8w-RKhR5U?feature=shared


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